ベガルタ仙台ユース、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会で強豪2チーム相手に奮闘見せる

 7月24日から群馬県内で行われた「第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」。18年連続25回目の出場となったベガルタ仙台ユースは、全国ベスト4進出を達成した2015シーズン以来7年ぶりのグループステージ突破を目指して、今大会に臨んだ。
 ベガルタ仙台ユースの入ったFグループは、プレミアリーグEASTの強豪FC東京U-18と、プレミアリーグWESTの強豪ジュビロ磐田U-18に加え、年代別代表選手が所属するロアッソ熊本ユースと強豪がひしめき合う非常に厳しいグループだった。それでもベガルタ仙台ユースは勝利に向かって全力で戦い抜いた。
 初日の24日はジュビロ磐田U-18と対戦。試合は開始2分で大きく動いた。ベガルタ仙台ユースは右サイドからのパスをトップチーム2種登録選手のボランチMF小林亮太(3年)が受けた。「自分たちよりプレミアリーグWESTで戦っているジュビロさんの方がチームとしての力があると思ったので、まず自分のところにボールが入った時に1回(シュートを)打ってみて何か起こればな、と思いました」と右足を振り抜くと、ボールはゴールネットに突き刺さり、先制に成功した。
 その後は磐田U-18の反撃を受け、29分に失点。それでも後半も粘り強く守り続けたベガルタ仙台ユースは47分キャプテンDF阿部駿也(3年)からのロングフィードを受けたFW小野獅道(3年)がゴール前へと攻め上がる。「センターバックの(阿部)駿也からボールが来て、それを(山田)泰樹がスルーして、自分も反応しきれなかったのですが、相手も反応しきれなくて、相手のトラップミスを狙ってボールを奪って1人抜いてシュートを打ちました」と相手の隙をうまく突き、追加点を奪う。その後も相手の反撃をしのぎ切り、小野のゴールが決勝点となって2-1で勝利した。木谷公亮監督は「入りが良かっただけでなく、練習してきたような流動的な形で点が取れました。良い流れができ、試合全体通して集中力を切らさなかったことにつながりました」と選手たちの奮闘を讃えた。

(ジュビロ磐田U-18戦で先制ゴールを挙げたMF小林亮太)

 ところがこの日の夜、ロアッソ熊本ユースがコロナの影響で2日目以降の試合を辞退することが発表され、グループステージ最終日27日の試合は中止になってしまった。2日目の25日FC東京U-18戦がグループステージ突破をかけた試合になった。
 FC東京U-18戦は勝つか引き分けで自力でのグループステージ突破が決まる形だったが、年代別代表選手が各学年に揃っているFC東京U-18はそう簡単な相手ではなかった。10分に相手のコーナーキックから失点。さらに27分には相手選手をペナルティエリア内で倒してしまい、PKで失点。前半終了間際の33分にもコーナーキックから失点し、流れの中からの失点は無かったものの、全てセットプレーから前半だけで3失点を喫した。
 前半はなかなか攻め込めなかったベガルタ仙台ユースだったが、後半に入り、トップチーム2種登録選手の右サイドバックDF山田泰樹(3年)がゴール前まで駆け上がって自らシュートを打ったり、チャンスメイクしたり、決定機に絡む。流れを変えようと奮闘していたが、前に出たことで今度は相手にDFラインの背後を突かれ、49分相手のカウンター攻撃から失点。最後まで積極的にゴールを目指したが0-4で敗れ、グループステージ最終日27日のFC東京U-18vsジュビロ磐田U-18の試合でFC東京が勝つか引き分け、もしくはジュビロ磐田U-18が8点差以上で勝てばグループステージ突破が決まることになった。
 27日まで群馬に残り、28日ラウンド16の試合があることを信じて準備していたベガルタ仙台ユースだったが、吉報は届かなかった。ジュビロ磐田U-18が1-0でFC東京U-18に勝利したため、全チームが勝点3で並び、得失点差が-3だったベガルタ仙台ユースはFグループ3位となり、惜しくもグループステージ突破を逃した。

 木谷監督はFC東京U-18戦の後「彼らのサッカーキャリアが今日終わるわけではない」と語っていた。結果的に2試合で終わった全国大会だったが、それでも来年戦うことを目標としているプレミアリーグのチームから1勝したのは財産だ。「東北にいたら気づかないところを、こういう大会で彼らが気づくことができました。課題をどう生かすかは選手それぞれですし、われわれ次第だと思います」と、この2試合で得たものを成長の糧として、今後につなげていこうとしていた。
 なお、この大会直後の30日、明治安田生命J2リーグ第29節レノファ山口FCvsベガルタ仙台ユース戦で、2種登録の山田が初めてトップチームのベンチに入った。試合出場はできなかったが、今大会での活躍や、これまでの努力が認められてのベンチ入りはユースチームにとっても大きな成果の一つと言えるだろう。
 チームは今月に入り、柏パワーワークフェスティバルや、和倉ユースサッカー大会、U18青森ユースサッカーフェスティバルなど、全国の強豪チームが集まる大会を巡り、さらなる実力アップに励んでいる。今回の全国大会や、各種大会を良い経験として、8月27日からのプリンスリーグ東北再開時にはひとまわりたくましくなった姿を見せたい。

(右サイドで攻撃の起点となったDF山田泰樹。大会直後トップチームベンチ入りを果たした。)

(by 小林健志)