【開幕直前特集】公表資料から読み解く!今シーズンのベガルタ戦士大解剖 Vol.1

 2022シーズンの開幕も間近に迫ってきました。ベガルタゴールドのユニフォームを身にまとって、J2優勝・J1昇格を目指す30人の選手たち。今年の様々な選手データから紐解いていきます。これまで見えてこなかった何かが見えてくるかも⁉

選手の出身地はどこ?宮城から遠い選手ランキング!ベスト3

 第3位は加入が発表されたばかりのMF鎌田大夢選手、愛媛県伊予市出身です。宮城からは約889Km離れています。実はこのランキング、第四位は同じく愛媛県松山市のMF松下佳貴選手、約881Kmでした。お二人の生まれ育った愛媛は柑橘類の一大産地。特に今が旬の「いよかん」は日本全体の95%を超えるシェアを誇ります。少年時代のお二人もたくさん食べて育ったのかも?

 続いて第2位はFW赤崎秀平選手、鹿児島県いちき串木野市出身です、宮城からの距離は約1,212kmです。まぐろの町とも言われるいちき串木野市では4月下旬には「まぐろフェスティバル」が開かれるそうです。

 第1位は、FW富樫敬真選手のアメリカ合衆国ニューヨーク州です。宮城との距離は10,530Km!(ここで外国が出てしまうのは反則ですか?)日本人のお父さんとアメリカ人のお母さんの間に生まれた富樫選手は、小学校の時に横浜に引っ越し、以降日本で生活し、プロサッカー選手になりました。

 選手たちの出身地を地域別で表すと、このようになります。(外国籍選手を除く)

 富樫選手の出身地「アメリカ」が出てきたところで気になるのは、外国籍選手の出身地。こちらもランキングでご紹介です。

はるばる仙台へやってきた外国籍選手たち。日本から遠い国ランキング!ベスト3

 第3位はGKストイシッチ選手の「セルビア共和国」。日本との距離は約9,576Kmです。南東ヨーロッパでバルカン半島の内陸に位置するセルビアの首都はベオグラードです。中世からの街並みも残っていて、古代の建築様式が見られる「ベオグラード要塞」も有名です。ネージャ選手には要塞のように堅い守りを見せてもらいましょう。

 第2位はFWフェリペカルドーゾ選手、MFフォギーニョ選手の「ブラジル」です。日本とは地球の反対側と言われるブラジル、その距離は約17,737Kmと言われています。南米で最も大きな国で国土は約851.2万平方キロメートルと、日本の約22.5倍だそうです。フットボールとサンバの国、ブラジル。お二人にも今年も情熱的にベガルタのサッカーを盛り上げていただきましょう。

 第1位はMFレアンドロ デサバト選手の「アルゼンチン共和国」です。日本との距離は、約18,301Km。首都はブエノスアイレスです。南米ではブラジルに次ぐ広大な面積を誇り、アンデス山脈や大草原パンパも有名ですね。サッカーも大人気で、ディエゴ・マラドーナやリオネル・メッシを筆頭に名だたるサッカー選手を輩出しています。デサバト選手は、日本政府による新型コロナウイルス感染症に関する新規入国制限措置のため、入国可能になり次第来日し、正式契約となります。チームに合流する日が待ち遠しいですね。

 続いては選手たちの学生時代にフォーカスを当てていきましょう。まずはこちら!

U-18時代(2種)は、クラブユース?高校サッカー?

 高校時代を日本で過ごした選手25人について、当時の所属クラブ・高校を調べました。サッカーに打ち込み、仲間と共に汗や涙を流したあの頃……。さて結果はいかに?(外国籍選手は除く)

 25人の内、Jリーグやクラブチームのユース出身選手は9人いました。ベガルタ仙台ユース出身でトップ昇格を果たしたGK小畑裕馬選手。後に続く選手が出てきて欲しいですね。その他、MF富田晋伍選手やDF吉野恭平選手は東京ヴェルディユース出身。MF遠藤康選手は地元宮城の塩釜FCユースから鹿島アントラーズに入団しています。ユース経験者はトップチームの練習に参加できるなど、プロを意識する環境で技術やメンタルを磨いてきた選手たちと言えるかもしれません。

 その他の選手は……MF石原崇兆選手(清水ユース)、MF氣田亮真選手(千葉U-18)、GK杉本大地選手(京都U-18)、DF内田裕斗選手(G大阪ユース)、MF大曽根広汰選手(川崎U-18)

 ベガルタ仙台で今年多数派となったのは、高校サッカー出身者です。16人の選手が、全国各地の名門校で青春の日々を送りました。GK井岡海都選手とDF真瀬拓海選手は千葉の市立船橋高等学校を卒業しています。高校時代の同級生と、プロでも同じチームで同期になりました。DF平岡康裕選手は、地元の清水商業高等学校から清水エスパルスへ入団しています。FW皆川祐介選手は群馬の前橋育英高等学校を卒業しています。高校サッカー選手権でしのぎを削り、プロへの道を切り開いた選手たちがいるのも特徴ですね。

 その他の選手は……DF福森直也選手(金光大阪高校)、DF蜂須賀孝治選手(桐生第一高校)、DF照山颯人選手(成立学園高校)、MF松下佳貴選手(松山工業高校)、MF加藤千尋選手(流経大柏高校)、FW赤崎秀平選手(佐賀東高校)、MF名倉巧選手(國學院久我山高校)、DF若狭大志選手(浦和学院高校)、MF梁勇基選手(大阪朝鮮高級学校)、FW富樫敬真選手(日大高校)、MF鎌田大夢選手(昌平高校)、FW中山仁斗選手(大阪産業大学付属高校)

高卒選手と大卒選手の割合は?ベガルタの最大派閥はこの大学だった!

 続いては高校時代だけではなく、大学時代にも注目してみましょう。ベガルタ仙台の高卒選手、大卒選手の比率はこうなりました。

 クラブチームのユース、高校サッカー問わず、高校卒業後にプロになった選手は11人いました。ユース出身の小畑裕馬選手、吉野恭平選手、石原崇兆選手、富田晋伍選手、杉本大地選手、内田裕斗選手、遠藤康選手。高校サッカー出身の平岡康裕選手、照山颯人選手、鎌田大夢選手、名倉巧選手(専修大に一年のみ通学)。早くから高いポテンシャルを発揮し、公式戦で活躍している選手もいれば、長く活躍し続けるベテラン選手もいます。

 一方で、大学卒業後にプロになった選手は14人です。宮城の仙台大学から入団した蜂須賀孝治選手や井岡海都選手。日本体育大学卒業の大曽根広汰選手は入団会見で日体大伝統の応援スタイル「エッサッサ」を披露してくれました。加藤千尋選手は多くのJリーガーを輩出している流通経済大学出身です。

 そして、今の仙台で年代の異なる名選手を輩出したのが大阪の阪南大学です。梁勇基選手(2004年卒)、松下佳貴選手(2015年卒)、真瀬拓海選手(2021年卒)の3人が阪南大で学び、サッカーに打ち込みました。今年のベガルタの中では、阪南大が「最大勢力」となりました。梁選手という大先輩を前に、真瀬選手が緊張しないか、ちょっとだけ心配です(笑)阪南大仕込みの高い技術と息の合ったプレーが随所に見られるかもしれませんね。
 その他の選手の出身大学は……福森直也選手(関西学院大学)、氣田亮真選手(専修大学)、赤崎秀平選手(筑波大学)、富樫敬真選手(関東学院大学)、皆川祐介選手(中央大学)、若狭大志選手(東洋大学)、中山仁斗選手(大阪産業大学)。

 このように様々なクラブチーム、高校、大学で自らを磨いてきた選手たちが、プロになり、縁あって2022シーズンのベガルタ仙台に集結しました。響き合う個性がピッチ上でどんなハーモニーを奏でるのか、注目していきましょう。

 続いては、長くJリーグで輝き続けるベテラン選手にスポットを当てていきたいと思います

プロキャリアが長い選手ベスト3

 昨シーズンは大卒選手の台頭がめざましいベガルタ仙台でしたが、2022年はそれに負けないベテラン勢の奮起に期待しています。経験豊かな選手たちのプロキャリアをランキングでご紹介します。

 第3位は、プロキャリア16年目のMF遠藤康選手です。仙台市出身、塩釜FCジュニアユース、ユースで技術を磨いた遠藤選手は2007年に強豪・鹿島アントラーズに入団します。J1で304試合に出場、46ゴール。在籍15年間で、リーグ優勝4回、ルヴァンカップ(ナビスコカップ)優勝3回、天皇杯優勝3回、ACL優勝1回を経験しています。地元に戻り、新たなスタートを切る遠藤選手。天才レフティがその豊かな経験をどのようにチームに還元し、自らも輝いていくのか楽しみなシーズンですね。

 第2位は、プロキャリア18年目のMF富田晋伍選手、DF平岡康裕選手の二人です。富田選手は2005年に東京ヴェルディユースからベガルタ仙台に入団します。当時の同期は、渡辺広大選手(現・ザスパクサツ群馬)や大久保剛志選手(現・ネイビーFC、タイ2部)。富田選手は新人ながら、開幕戦の先発に抜擢されて、Jリーグデビューを果たします。J1で322試合、4ゴール、J2では109試合、1ゴール。そのキャリア全てをベガルタ仙台で積んできたバンディエラです。

 平岡康裕選手は2005年、清水商業高等学校から清水エスパルスに入団します。2008年に期限付き移籍で当時のコンサドーレ札幌でプレー。翌年には清水へと復帰します。ベガルタ仙台に期限付き移籍したのは2016年。翌年には完全移籍して、今年で仙台は7年目となります。高い空中戦勝率を誇る平岡選手、DFリーダーとしても守備に安定感をもたらしてくれます。昨年はJ1通算350試合出場を達成しました。自身初となるJ2での戦い。強い気持ちで「J2優勝、一年でJ1復帰」するチームをけん引していきます。

 栄えある第1位は……、みなさんお分かりですね。プロ19年目を迎えたMF梁勇基選手です。2004年に阪南大学からベガルタ仙台に入団し、当時の背番号は「30番」でした。一年目から32試合に出場すると、翌年にはレギュラーに定着。2006年にはチームの中心としての背番号「10番」を背負います。2008年のJ1J2入れ替え戦、2009年のJ2優勝・J1昇格、東日本大震災が発生した2011年、J1で見事な優勝争いを繰り広げた2012年。チームの歴史とともに、歩んできた梁選手。2020年から2年間はサガン鳥栖でプレーしましたが、今年1月、電撃的に仙台への復帰が発表されました。梁選手不在の2年間は空番号となっていた10番も復活。キャプテンとして、再びチームを引っ張るベガルタの太陽です。19年目という輝かしいキャリアは本人の努力と念入りなケアの賜物。「毎年上手くなりたいと思っている」と向上心を忘れぬ梁選手です。

1位 梁勇基選手 プロキャリア19年目
2位 富田晋伍選手、平岡康裕選手 プロキャリア18年目
3位 遠藤康選手 プロキャリア16年目

 続いては、こちらです!

ベガルタ仙台在籍年数ベスト5

 ベガルタ仙台で長くプレーを続け、サポーターに愛されてきた選手たちをご紹介します。ベガルタゴールドが似合うあの選手たちが名を連ねています。そして、クラブのレジェンドと言われるあの方々もランクインしていました。

 第5位は、「在籍12年」、元祖・ミスターベガルタの千葉直樹さんです。仙台市出身で東北学院高等学校を卒業後、JFLのブランメル仙台に加入した千葉さん。ブランメルで3年間プレーし、1999年からベガルタ仙台の一員としてプレー。背番号7と七分袖のユニフォームは千葉さんの代名詞となりました。2010年現役を引退。現在はDatefm「SOUND JENIC」でパーソナリティーを務めるなどタレント業を中心に活躍しています。

 第4位は、「在籍13年」、関口訓充選手です。2004年に帝京高等学校を卒業し、梁勇基選手や萬代宏樹さんらと同期で入団。2010年には仙台生え抜き選手で初めてサッカー日本代表4月に仙台に復帰しました。2022年に関東リーグ1部の南葛FCに加入。苦しい時こそ声を上げる「7番」の後ろ姿は、サポーターの胸を熱くし続けました。

 第3位は、「在籍16年」のワンクラブマン、菅井直樹さんです。2003年に山形中央高等学校から加入。「キン」の愛称は、同姓の女優・菅井きんさんが由来。右サイドバックながら、いつの間にかゴール前に現れる「なんでそこにいるんだ攻撃」が持ち味。2018年に引退するまで、ベガルタ一筋の現役生活を送りました。現在はベガルタ仙台の地域連携部地域連携課スタッフとして、地域とクラブの懸け橋となるべく奔走しています。昨年は七ヶ宿町で「空き家再生プロジェクト ベガルタハウスを作ろう」で、金づちやチェーンソーを手に、大工としての鮮やかな腕を披露しました。

 第2位は、帰ってきたこの人、「在籍17年」の梁勇基選手です。2004年に阪南大学から加入した梁選手。チームの象徴として長く仙台で活躍し続けました。財前宣之さんから受け継いだ「背番号10」を、サガン鳥栖から3年ぶりに復帰した今シーズンも背負います。今シーズンは自身4度目となる、キャプテンに就任。頼れる主将がチームを再びJ1昇格へ導いてくれるはずです。

 そして栄えある第1位は、「在籍18年」の富田晋伍選手です。この年数は、クラブ史上最長となります。2005年に東京ヴェルディユースからベガルタ仙台に加入、17歳にして開幕戦から先発出場を果たします。ボール奪取能力に優れた富田選手は、長くボランチで活躍。特に、2011年から角田誠アシスタントコーチと組んだボランチコンビは、息の合ったプレーでベガルタを上位へと押し上げる原動力になりました。指揮官が変わる中でも、どの監督にも求められてきた愛すべき「小さな巨人」です。この記録はまだまだ伸ばして行って欲しいですね。

1位 富田晋伍選手 在籍18年
2位 梁勇基選手 在籍17年
3位 菅井直樹さん 在籍16年
4位 関口訓充選手 在籍13年
5位 千葉直樹さん 在籍12年

 さぁ、ベガルタ仙台の2022シーズンが幕を開けます。新たな歴史の一ページがもう始まっています。今年、J2優勝・J1昇格を目指して戦う選手たちがどんな表情を見せてくれるのか、楽しみでなりません。「SOCIO MAGAZINE」でも様々な角度からお伝えしていきます。

(by 村林いづみ)