【ユース】2年連続トップチーム昇格選手誕生!DF 永井大義とFW 古屋歩夢はどんな選手なのか?
特集
2025.10.17
ベガルタ仙台ユースからトップチーム昇格を果たしたDF永井大義(3年)は宮城県大崎市出身。小中学生時代は山形県のクラブチームSFCジェラーレでプレーし、中学3年時にはカメイカップ山形県選抜として出場し、優勝に貢献してMVPを受賞した。そして、永井は高校でベガルタ仙台ユースに加入する。中学時代までは中盤の選手だったが、身長が伸びたこともあり、センターバックに転向した。
だが、1~2年生ではプリンスリーグ東北のメンバーになかなか入り込むことができなかった。そんな中今シーズン就任した加藤望ユース監督は「自分が今年になって見てきたものと、スタッフが昨年まで見てきたものをすり合わせて決めました。大義が練習前1人で出てきてボールを蹴っている姿を見ましたし、練習中の声かけの内容がチーム全体のことを考えていて、ちゃんと言うからには自分もしっかりその基準でプレーをしていて、それが一番見られたのが彼でした。言葉の重みっていうのがやっぱり自分もやっているので重いと思ったので、彼に託しました」と、練習でのサッカーへの真摯な取り組みを見て、永井をキャプテンに抜擢する。
すると、185cmの長身を生かした高さ勝負への強さを生かし、守備の安定に大きく貢献する。さらには持ち味である左足のキックでDFラインからのビルドアップに関与し、最後尾からゲームをつくることのできる存在として急成長を見せ、キャプテンとして絶対的な存在になっていった。永井に率いられたチームは4月から公式戦負け無しを続けた。「全国でも無敗で優勝できるようにがんばっていきたい」という事前の意気込み通り日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会では準決勝まで負け無しで公式戦17試合負け無しを達成し、準優勝に大きく貢献した。
トップチーム登録(2種)され、トップチームの練習試合にも頻繁に呼ばれるようになった永井は、ついにトップチーム昇格を勝ち取った。父は2007年~10年トップチームの選手として活躍した永井篤志ジュニアユースコーチ。ベガルタ仙台初の親子2世代トップチーム選手の誕生だ。永井篤志コーチは「よく『おめでとう』って言われるんだけど、試合に出ないとね。試合に出て初めて『おめでとう』と言いたいよね」と語る。プロの世界の厳しさを知っているだけに、まずはプロで試合に出るためにもっと成長し、チームの勝利に貢献する存在になることを願っているようだった。
もう1人トップ昇格を達成したのはFW古屋歩夢(3年)。東京都出身の古屋はFC COLORSでサッカーを始め、中学時代はかつてトップチームで活躍したMF関口訓充も在籍した名門クラブチームFC多摩ジュニアユースでプレーし、キャプテンとしてチームをけん引する存在となった。
そして、2023年ベガルタ仙台ユースに加入すると、いきなり大活躍を見せた。4月1日に行われたプリンスリーグ東北開幕戦尚志高セカンド戦でデビューを果たし、アディショナルタイムにゴールを決める鮮烈なデビューを飾った。さらに4月29日の東北学院高戦ではハットトリックを達成し、1年目から要所で活躍を見せた。2年時にはプリンスリーグ東北得点王となるなど、エースストライカーとしての地位を確立する。馬力のあるドリブル突破と、時には強引にでもシュートを狙っていくゴールへの貪欲さが一番の持ち味だ。
ゴールへの思い、勝利への思いが強すぎるあまり、感情をコントロールできなくなる試合もあったが、精神的にも成長を重ね、3年時はゴールだけでなく、最前線での守備やボールキープなど、チームのためのプレーが増えていった。夏場の6月29日に行われた学法石川高戦で逆転ゴールを決めた時には「夏になってきて、みんなが疲れている中で、ネガティブな声を出しているとやっぱりチームも下に行っちゃうので、チームを引っ張って逆転で勝たせられたのは良かったなと思います」と、周りのことを考えてチームを引っ張ろうという自覚が生まれていた。
そして日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会では3得点を挙げて、チームの準優勝に大きく貢献した。その後トップチーム登録(2種)された古屋は、練習試合に出場し、自らの持ち味を出そうと貪欲にプレーし、トップチーム昇格を勝ち取ることができた。
こうしてトップチームに2選手が昇格することになったことについて、加藤ユース監督は「プロとしてやっぱり試合に出て、チームの勝利に貢献して、そして応援してくださる方が笑顔になるようなプレーをしてほしいです。そうやってに期待される選手になってほしいし、その期待に応えれる選手にやっぱなってほしいなと思いますね」とエールを送った。
永井も古屋も今シーズン春の時点ではトップチーム昇格が決定的という形ではなかった。永井は前述の通り1~2年時はプリンスリーグ東北出場が遠かった。古屋は1年時から公式戦に出場していて結果も残していたが、メンタルコントロールが課題だった。しかしながら2人とも精神的にも技術的にも成長を見せて昇格を勝ち取った。「今年1年だけではなくて、ここに来ていろんなことが多分あったと思うんですけど、挫折と言うか、心が折れることもあっただろうと思います。そういうことを踏まえて、それでも前を向いて、目標に向かってやってきたことが身を結んだと思うんですね」と3年間のたゆまぬ努力が実を結んだのだと加藤ユース監督は語る。
「このアカデミーとして3年間、もしくは6年間とか、あとはジュニアも入れればそれ以上になりますけど、ここに来て、この環境でプロになれているというのは、アカデミーとしてもやっぱりうれしいことですし、今まで関わってきた指導者の方の力も彼らを成長させたと思いますし、そういう意味でもお互いにこれからがんばってほしいなと思います。プロになるだけではなくて、やっぱり活躍してもらわないといけません。今、トップでもアカデミー出身の選手が結構いて活躍しているので、それに負けないぐらいやってほしいなと思います」と彼ら2人のトップチーム昇格をよろこび、そして将来、主力選手としての活躍を期待する加藤ユース監督。2人がこれからどう成長し、どんなプロキャリアを描いていくのか、非常に楽しみだ。
ベガルタ仙台ではアカデミーの未来、すなわちベガルタ仙台の将来を担う選手たちの環境のアップデートをテーマに、2025シーズンも引き続きクラウドファンディングを実施中です。ご協力をお願いいたします。
ベガルタ仙台クラウドファンディング EVER GOLD SPIRIT FUTURES
(by 小林健志)