【ジュニアユース】高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会、東北大会勝ち抜き、2年ぶりに全国の舞台へ!

あと一歩で優勝逃したみちのくリーグの悔しさをバネに

 「高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会」は年末に行われる中学生年代の全国大会である。この大会に出場するためには2つの方法がある。1つは4月から10月にかけて行われる「高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権東北みちのくリーグトップリーグ」で優勝すれば、東北大会が免除され、東北第1代表として出場権が与えられる。もう1つがその後行われる「高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権東北大会」に出場し、優勝して東北第2代表としての出場権を獲得することだ。
 ベガルタ仙台ジュニアユースは、みちのくリーグトップリーグ優勝での高円宮杯出場を目指してきた。途中首位に立っていた時期も長かったが、9月18日の第16節モンテディオ山形ジュニアユース村山戦で1-2と手痛い黒星を喫し、青森山田中と順位が逆転してしまう。それでも10月8日の最終節青森山田中との直接対決で勝利すれば優勝が決まる状況だったが、1-1で惜しくも引き分け。青森山田中の優勝、高円宮杯出場が決まり、ベガルタ仙台ジュニアユースは東北大会に回ることとなった。
 ジュニアユース嶺岸佳介監督は「みちのくリーグでの悔しさを経験し、個もグループも成長しよう、と選手たちに言いました」と振り返る。さらなる鍛練を積んで、2年ぶりの全国大会出場をかけて東北大会に臨んだ。

苦しい戦いの連続、それでもたくましく勝ち上がった

 東北大会は苦しい戦いの連続だった。10月29日の2回戦AC弘前戦は前半得点が入らなかったが、後半キャプテンMF石山葉琉(3年)と、FW伊藤暖人(2年)のゴールで2-0と勝利。最も苦しんだのが11月4日準々決勝レノヴェンスオガサFC戦。点の取り合いとなり、試合終盤まで2-3と負けている状況だった。しかしアディショナルタイムにFW菅野浩希(3年)とDF渡邊兼汰郎(3年)のゴールが決まり、4-3で劇的な逆転勝利を飾った。11月5日の準決勝はブラウブリッツ秋田U-15と対戦。こちらも前半は無得点だったが、後半MF佐藤昴太(3年)のゴールで先制すると、FW佐々木亮(3年)が2ゴール。3-0で勝利して、11月11日の決勝へと登りつめた。
 そして、決勝の舞台で対戦することになったのは、夏の日本クラブユースサッカー選手権(U-15)東北大会決勝で敗れたFCフォーリクラッセ仙台に準決勝で勝利したJFAアカデミー福島EAST。クラブユース選手権では東北第3代表で全国大会へと勝ち上がり、宮城県出身選手も在籍。日本サッカー協会で育成年代を長く指導するコーチ陣を擁する強豪だった。

決勝で見せた粘り強さ、2年ぶりの全国へ。

 決勝が行われた石巻フットボール場は当日暴風が吹き荒れた。前半風下に回ったベガルタ仙台ジュニアユースは、相手の攻撃を受ける形となる。しかし監督も選手たちも焦りは無かった。「風上だったら前半からガンガン行こうと思いましたが、(失点)0で耐えることが後半につながると思いました」と嶺岸監督も前半は我慢の戦いを選択。GK小林伶斗(3年)も「前半まず耐えて、失点するかもしれない時もチームで一つになって、まず守備から入ったので、失点0で後半に折り返すことができたと思います」と冷静な守備対応を見せ、前半は0-0で終えた。
 後半は風上に立ったベガルタ仙台ジュニアユースが攻勢に出る。そして、61分キャプテン石山のコーナーキックは「前回の準決勝でなかなか良いボールが蹴れなかったので、蹴る前に芝を確認して、GKを外してボールを蹴ることを意識しました」とファーサイドに上がる。これを相手DFがクリアミスし、ゴールに入れてしまい、オウンゴールで先制した。その後はJFAアカデミー福島も反撃に転じたが、GKの小林やセンターバック渡邊、DF鑓水桜雅(2年)を中心に守備陣の集中は切れなかった。1-0で勝利し、2年ぶりの全国大会出場を決めた。

(決勝での先制ゴールに喜ぶ選手たち)

 「このグループの良さである粘り強さとタフさが相手に一瞬のエラーを呼び起こさせました」と嶺岸監督は強風など厳しい条件でも粘り強く一体感を持って戦い抜いた選手たちの奮闘を讃えた。昨年今大会の決勝でFCフォーリクラッセ仙台に敗れて全国大会出場を逃した試合にも出場していたキャプテン石山は「昨年の先輩が決勝で0-1で悔しい思いをして、この1年間また優勝に向かってやってきたので、それが結果に結びついて良かったです」と1年前の悔しさも思い起こし、優勝・全国大会出場を喜んだ。
 嶺岸監督は全国大会に向けて「個もグループも積み上げられるようにしたいです。夏の全国大会で対戦したような相手に、自分たちからアクションを起こせるようにしたいです。そしてチームの立ち上げから言っているベガルタ仙台の価値を上げ、個人の価値を上げることをやっていきたいです」と強い意気込みを語った。その全国大会の組み合わせも発表され、初戦1回戦は12月16日(土)、コーエィ前橋フットボールセンターにて柏レイソルA.A.TOR’82と対戦する。過去最高成績はベスト8。この成績を超え、ベガルタ仙台の価値を高めるため、今シーズン最後の戦いに挑む。

(表彰されるキャプテンMF石山葉琉)

(by 小林健志)