【ユース】第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会は3連敗。悔しさ糧に新たなる船出
レポート
2024.08.05
7月22日より行われた「第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」。今シーズンからグループステージと準々決勝は全国4会場での分散開催となったため、ベガルタ仙台ユースは宮崎県宮崎市のアミノバイタルトレーニングセンターで、1位のみが準々決勝に進出できるグループステージ3試合を戦った。
22日の大事な初戦はプリンスリーグ九州首位を走るアビスパ福岡U-18との対戦だった。立ち上がりは慎重に入ったが、17分カウンター攻撃を受けて、相手のシュートを一度は止めたが、こぼれ球を福岡U-18FWサニブラウン・アブデルハナン(3年)に決められ先制を許した。後半は仙台ユースも反撃に転じ、45分FWピドゥ大樹(2年)がペナルティエリア内で相手DFに倒され、相手DFは退場となりPKを獲得。PKをキャプテンMF横山颯大(3年)が落ち着いて決めて、同点に追いついた。その後数的優位を生かして攻めたが、あと一歩でシュートを決め切れず、68分コーナーキックからDF藤川虎三(1年)にヘディングシュートを決められ、1-2で敗れた。
準々決勝進出のためには絶対に勝たなければいけなくなった23日の柏レイソルU-18戦だったが、プレミアリーグEASTで戦うチームの強度と技術に押されて、前半は相手に押し込まれる展開となり、8分柏U-18FWワッド・モハメッド・サディキ(3年)にゴールを許すと、10分にもFW加茂結斗(1年)にゴールを決められ、序盤で2点ビハインドの展開となってしまう。24分、41分とワッド・モハメッド・サディキにゴールを許してハットトリックを達成され、仙台ユースはその後決定機はあったがゴールを決めきれず、0-4で完敗した。
どちらの試合も自分たちのペースの時間帯には決定機もつくれたが、木谷公亮前監督は「できていた部分、戦えていた部分もありましたが、試合を決めるのはここだよね、というところがまだまだ足りませんでした」と語り、プレー強度やゴール前でのプレーの質の面で課題が残る結果だった。
1日空けて25日のグループステージ最終戦はプリンスリーグ関東の横浜F・マリノスユース戦。この日は前半の入りは悪くなく、何より球際で激しくぶつかり合ったり、活動量豊富に動き回ったり、戦う部分で前の2試合と比べて向上が見られた。後半セットプレーから失点はしたが、最後まで諦めずに戦い、0-1で敗れたものの、2試合の反省を生かした試合となった。木谷前監督は「ここ2試合で足りないところは、結局そういうところ(球際や強度、走力)で、東北で井の中の蛙になっていたと感じました。ベースはそこだったということに立ち返って、どんどん前に出ていくところだったり、ピンチだったら必ず戻るところだったりを徹底してやって、まだ足りなかったかもしれませんがそういう姿勢をまず出そうとして、先が見えるような戦いをしてくれました」とこの試合での選手の戦う姿勢を評価した。
3連敗でグループステージ終了となったが「昨年みたいにノックアウトステージに行って何かを学ぶ代もあるかもしれませんし、優勝して勝って何かを学ぶ代もあるかもしれません。僕らはこの3連敗から学ぶところをしっかり見せて、ここをターニングポイントに変わっていかなければいけないと思います」と木谷前監督は大会を総括した。
キャプテンの横山(颯)は「全国の相手はクオリティが高かったですし、それを自分たちが戦って走りながら、どれだけ自分たちの攻撃のパターンに持って行けるかがまだまだ課題かと思うので、それはまた仙台で基準を1つ2つ上げてトレーニングしていきたいです」と練習での基準をさらに上げていきたいと今後への強い意気込みを語った。
そして、この大会を終え、チームは新たな体制で再出発を切ることになった。
木谷前監督は今大会を最後に7月31日付けで退任し、8月よりサガン鳥栖テクニカルダイレクターに就任することが発表された。8月1日より、これまでユースヘッドコーチを務めてきた安川洋介新監督が就任した。越後和男元ユース監督(2011~2016シーズン)がジェフリザーブス監督時代の教え子だった安川監督は、2012シーズン仙台のスクールコーチに就任し、2014シーズンよりユースのコーチを務め(2016シーズンのみジュニアユースコーチ(U-15B監督))、約10年にわたりユースの歴史をコーチとして見守ってきた。木谷前監督の意思を継ぎ、選手たちのさらなる成長に全力を注ぐはずだ。
今大会は悔しい結果に終わったが、選手たちは既にこの先を見据えている。キャプテンの横山(颯)や、DF似内久穏(2年)は8月4日のバンコクFC戦に出場し、精力的なプレーを見せた。既にどの選手もこの悔しさを必ずプレミアリーグ参入につなげようと意気込んでいる。安川新監督の下、思いを一つにして選手たちは新たなスタートを切る。
(by 小林健志)