【ユース】プレミアリーグプレーオフ出場決定!プリンス東北優勝を逃した悔しさを糧に大一番へ挑む
レポート
2025.11.28
「高円宮杯JFA U-18プリンスリーグ2025東北」は10月上旬から11月下旬まで高校サッカー選手権、各県高校新人大会が行われるため中断期間となり、ベガルタ仙台ユースはその間、11月8日に延期となっていた第10節仙台育英高戦が行われる予定だった。この試合で勝点1以上取れば2位以上が確定し、12月12・14日に行われる「高円宮杯JFA U-18プレミアリーグ2025プレーオフ」出場が確定する状況だった。しかし仙台育英高が棄権となったため試合は行われず、規程により3-0でベガルタ仙台ユースの勝利扱いとなり、勝点3を得たベガルタ仙台ユースはこの時点でプレーオフ出場が決定した。ベガルタ仙台ユースのプレーオフ出場は3年連続8回目となる。
残り2試合第16節まで終了時点で1位の尚志高は勝点40、2位のベガルタ仙台ユースは勝点36という状況だった。そして11月22日アイリストレーニングフィールドで行われた第17節は両者の直接対決だった。この試合で尚志高は勝つか引き分けで優勝が確定する。ベガルタ仙台ユースが逆転優勝するにはこの試合を勝たなければならなかった。さらに11月29日の最終節学法石川戦も勝利し、さらに尚志高が最終節青森山田高セカンド戦で引き分けもしくは敗戦の場合、逆転優勝が決まるという条件だった。
他力になるため、少し厳しい条件ではあったが、ベガルタ仙台ユースの選手たちは逆転優勝を諦めず、この試合に挑んだ。
試合は序盤得点力のある尚志高の攻撃陣に攻め込まれる場面があったが、トップ昇格内定のキャプテンDF永井大義(3年)を中心に冷静に相手の攻撃をはね返していく。すると24分右サイドからのクロスに対して、相手DFラインの背後に抜け出したのは、トップ昇格内定FW古屋歩夢(3年)、古屋は相手DFに倒されてPKを獲得。しかも倒したDFにはレッドカードが提示され退場処分。前半早い時間帯で相手が10人になるという展開だった。古屋は落ち着いてPKを決めて先制に成功した。その後は数的優位を生かして仙台ユースが優勢の展開のまま1-0で前半を終えた。
ところが後半に入った直後の51分、中盤で尚志高MF臼井蒼悟(3年)にボールを奪われ、そのままドリブルで仕掛けられてシュートを決められ1-1の同点とされてしまう。その後、引き分けでも良い尚志高は自陣で守備ブロックを築き、ベガルタ仙台ユースの攻撃をはね返し続けた。後半途中から、Jユースカップ全国ベスト4進出の立役者となったFW佐々木亮(2年)らを投入し攻撃の圧を強めたが、最後まで尚志高のディフェンスを崩せずこのまま試合終了。1-1の引き分けに終わり、残り1試合で尚志高の勝点が41、ベガルタ仙台ユースの勝点が37となったため、尚志高の優勝とベガルタ仙台ユースの2位が決定した。
加藤望監督は「ここで点を取れないのが実力ですので、それにちゃんと向き合ってやっていきたいなと思いますし、これを成長の糧につなげていきたいなと思います」とあと一歩で得点が取れず優勝できなかった事実に向き合っていた。「スタートから自分たちで主体的にプレーできなかったことが多くあったと思います。相手を見てプレーができないと言うか、自分たちからアクションできない場面がたくさんあって、それを最後まで変えられなかったゲームだと思います。本当の意味で相手を見るとか、意図的に2つ先、3つ先をイメージしながらプレーをすることが、個人としてもチームとしてもちょっと足りなかったなと思います」と加藤監督がシーズン開幕から求めてきた攻守に自らアクションを仕掛けるスタイルを出し切れなかったことを悔やんだ。
そのことは選手も分かっている。キャプテンの永井は「入りから相手に合わせてやっていた部分があって、(古屋)歩夢のおかげで幸先良く1点を取ったのですが、相手も1人少なくなってからも、やっぱり自分たちが相手に合わせてやっている感じがしていました。それはハーフタイムでも監督に言われたんですけど、そこを改善しきれなくて、結果的に失点して1点取ることができなかったので、入りのプレーがそのまま試合に出たなというのは思います」と反省を口にした。
先制ゴールの古屋は「自分が決めれば絶対に勝てる試合だったと思うので、そこの決めるというところは一番の課題にしなきゃいけないですけど、他のみんなももっと攻撃パターンを増やしてやっていかないと、やっぱり自分だけじゃ勝てないんで、そこを練習で合わせていきたいです」は自らがゴールを決めきれなかった反省とともに、チームメートも含めてみんなで成長する必要性を語る。この後のプレミアリーグプレーオフを勝ち抜くためには、トップ昇格内定の2人だけでなく、選手全員が残り少なくなった今シーズンの活動の中で少しでも成長しようと努力を重ねる必要があるだろう。3年生だけでなく、佐々木のようにJユースカップで活躍した1~2年生も存在感を見せていく必要がある。
それでも、選手たちは引いた相手に対しても雑な攻めに陥るのではなく、丁寧にパスで崩していこうという姿勢を持って戦っており、この引き分けは決してネガティブな要素ばかりだったわけではない。加藤監督は「今、選手たちも伝えましたけど、結局こういう試合で1点取らなきゃいけないし、1点守らなきゃいけないしというところの経験ができたので、またこれを日々のトレーニングに生かしていけるようにやっていきたい」とこの経験を糧にしようと前を向いていた。キャプテンの永井は「残り3試合勝ってプレミア昇格して、(セカンドチームが)プリンスリーグプレーオフも勝って、プリンスにも昇格できるように、また全員でやっていきたいなと思います」と、プレミアリーグプレーオフ突破した場合にセカンドチームが出場予定の、12月19~23日に行われる「高円宮杯JFA U-18プリンスリーグ東北2025プレーオフ」まで見据えて意気込みを語った。ユースの選手たちは12月のプレミアリーグプレーオフ、プリンスリーグ東北プレーオフに向け、さらに自らを成長させ、チーム力を上げるべく一丸となって戦う。
(by 小林健志)